Club71 SOHO その3

2001~2016年の間香港に暮らしていた。

香港はセントラル SOHO にひっそりと位置する Club 71。

その1はこちら  その2はこちら


木曜の夜のジャムセッション

私はここに出入りしているうちにイギリス人のバンドリーダーから声をかけられて、バンド活動を始めたのだった。

ミュージシャンがよく集うバーだ。

2018年3月に数日間だけ香港へ戻った際に立ち寄った際に、思いもよらずにジャムセッションに巻き込まれるというハプニングがあった。

彼らは毎週木曜の夜の Club 71 に集まってセッションをするらしい。

私はたまたま友人待ちをしていたのだけど、仲間だと間違われてなぜかセッションに参加することになってしまった。

彼らのジャンルはアイリシュ・フォーク。

私には馴染みのないジャンルだけど、なんとかジャムをしてみることに。

Club 71 はこういうことが自然発生的に起こる場所なのだ。

見ず知らずの相手同士でもすぐに打ち解けて話せる雰囲気。

知らない者同士が一緒に何かができる場所。

そういう懐の深さがこのバーの性格。

オーナーのグレイスの性格。


THERE IS HOPE

Club 71がオープンしたときから変わらず店先にあった置物。

よくは知らないけど、開店祝いに誰かが進呈したものではないかと思う。

雨の日も風の日も晴れの日も、変わらず客を迎え入れてきた置物。

店のトレードマークになっていた。

2018年のある日。

何が起こったのかは誰も知らない。

壊れてしまった。


激動の香港にあって変わらない場所

過去13年の間に、Club 71 を取り巻く環境は激変した。

店の前に草木が茂っていた空き地は整備されて公園になった。

隣に放置されていた倉庫には買い手がつきゲイバーがオープンした。

店の前の路地はキレイに舗装されて、今ではテーブルを並べられない。

今香港は激動の変化を通過中だ。

その真っただ中にあって、常に香港を見守り続ける Club 71。

サブカルチャーの拠点、民主化の火を絶やさないように今でも人々を見守り続ける。

何年も前から大家から家賃の値上げを言われて苦しい状況が続く。

以前は夜だけの営業だったが、今は昼間カフェに転身することで利益を上げて凌いでいる。

SOHOに昔からあった店が次々と閉店して去っていく。

グレイスと一緒に店を切り盛りしていたパートナーのリッキーは何年も前に脳梗塞で倒れて自宅療養中。

かつての常連たちは、みな他国へ移住したり、亡くなったりしてバラバラだ。

もちろん、今でもいる人たちはいる。

彼らは今でも毎日仕事帰りにこの場所へ立ち寄る。

ウェイトレスは20年前から変わっていないアイヴィーとアングル。

私は今でもときどき Club 71へ行くことを考えるが、あの頃と変わらず受け入れてもらえるという安心感がある。

それに、最後に立ち寄ったとき(2018年3月)、支払いをし忘れたような気がしているのだ。

あのときはいろいろ気ぜわしくて、自分のタオルも夕食の箱も Club 71に置き忘れたままにしてしまった。

飲み物の代金を払った記憶もないのだ。

財布を出した記憶そのものがない。

常連は顔だけでツケで飲めるのが裏目に出たのだ。

ま・・・いつかまた戻った時に払おう。

私の心の片隅にある我が家のような場所。

【2019年4月4日追記】

Dear Patrons

It’s been difficult with what’s going on in HK, spiritually and financially. After serious thought, we confirmed the tenancy agreement of 3 years three days ago, effective from 1 st of April 2019. We will try our best to move on.

Thanks to you all who have always cared about the survival of Club 71.

May love never die. See you around.

Grace

* * * * *

各方好友:

目前的香港,無論在精神和經濟層面都十分煩困。經慎重考慮,我們在三天前作實,續租三年,自2019年4月1日起生效。

感謝各位的珍惜和關心,我們會盡力前行。

願愛長存,71見。

Grace

親愛なる顧客の皆さんへ

近年の香港の動向はとても厳しく、精神的にも経済的にも苦しい思いをしてきました。熟考を重ねた結果、Club 71 のテナント契約向う3年間に署名することを決めました。2019年4月1日より3年間有効です。いつまでこのビジネスを続けられるか、毎日考えています。

Club 71 の存続に関し、温かい関心を寄せてくださる皆さまに深く感謝します。

May love never die.

いつまでも愛が続きますように。

ではまた。

グレース

Club71:Basement, 67 Hollywood Rd, Soho, Central, China Hong Kong

+852 2858 7071


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プロフィール

 

1973年生まれ。

 

1993年から今までで19か国(一部地域)を訪れ、5か国での生活を経験しました。

 

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